ミャンマーの少数民族、カチン族の40代女性が難民と認められないのは違法として、国を相手取って認定の義務付けなどを求めた訴訟の控訴審判決が17日、東京高裁であった。白石史子裁判長は難民認定すべきだと判断した一審東京地裁判決を取り消し、義務付け請求を却下した。
白石裁判長は、女性が加入する反政府デモなどを行う団体について、「ミャンマー政府から権利侵害を受けた者がいる証拠はない」などと指摘。「帰国すれば迫害を受けるという恐怖を抱くに足る客観的な事情は認められない」と述べ、難民認定しない国の処分は正当と結論付けた。
一審東京地裁は、女性が帰国すれば、国軍などから拷問や虐待を受けるという恐怖を抱く客観的な事情があるとして、難民と認めないのは違法と判断。在留不許可処分なども無効とした。
判決後、都内で記者会見した女性は「悪い夢を見ているようだ。悲しい、残念な日だ」と話した。代理人弁護士は「世界的にミャンマーから逃れた人の難民認定率は高水準だが、日本での認定はほぼない。申請者への抑圧を強め、秩序を強化しようとする誤った方向だ」と批判し、上告を検討する考えを示した。(時事ドットコム2020年12月17日より)
産経新聞2020年12月17日は、こちら。